「ヒトリシズカ」 誉田哲也

ヒトリシズカ (双葉文庫)

ヒトリシズカ (双葉文庫)



読んだら止まらなかった〜3時間で読了。
これは警察小説ではないです。
警察官はたくさん出てくるけど、これは1人の女の物語。



大きな事件はずいぶんご無沙汰な地域で起こった銃殺事件。
元暴走族が刃物で刺されて死亡した事件。
恩のある先輩から頼まれた行方不明の娘の調査。
知り合いの女性に付きまとう男性が刺殺された事件。
暴力団同士の武力抗争から起きた銃撃戦?


1つ1つの事件は、そんなに入り組んだものではないのですが、
必ず付きまとってくる、1人の女性がいったい何者なのか。
彼女の正体が知りたくて、ついつい読み進めてしまった。
最終話で、謎がかなり解き明かされるのですが、ちょっと消化不良。


6作品通じて解決したように見えますが、
それはあくまで周りの人間が解き明かした彼女であって
「本当の彼女」が何を思い、何故そうしたのかは分からぬまま。
それを狙った作品なのだろうと思いますが、うぅぅん…?


ヒトリシズカ白拍子静御前」の舞姿からつけられた名前。
頼朝に追われて逃げる義経を思いながら舞うその姿と
花弁もガクもなく、白く1本のオシベだけが直立する姿を重ねたそう。
花言葉は「静謐」と「隠された美」だそうだ。
予備知識で入れておくと、また少し違った意味合いも出てくるかな。


もう少し膨らますことができたような。
でも、ここで終わらせるからいいような。
面白かった分、ちょっともったいないなーです。



それにしても、本当に誉田哲也さんて女性を描くのがうまいなぁ。