「船に乗れ!3〜合奏協奏曲〜」 藤谷治 

(P[ふ]2-4)船に乗れ!  III (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[ふ]2-4)船に乗れ! III (ポプラ文庫ピュアフル)


勢いに乗って3巻〜!
しかも1日で読み切れた!


2巻では、衝撃的な展開があったけど
その展開を経たサトルも3年生に進級。
学校の体制が変化してゆくなかで、彼は音楽とどう向き合うのか。


1巻のころは眠くなる…と思っていた哲学の話。
2巻のラストでは、この本の味だなぁ〜と思い始め、
でも3巻ではあの展開だから、もうないかな…と思ってたら
ラストにあの方が出てきて、ちゃんと締めてくれました。
タイトルも音楽ではなく、哲学方面からきてるんだな。


音楽高校というある意味では特殊な環境を舞台にしながらも
書かれているのは、ごく一般的な高校生の苦悩の数々。
音楽の描写も丁寧だけど、楽器の扱いやどう間違えたかは
正直想像が上手く働かないけど…まぁそんなもんか。
音楽を楽しむ様子はこれ以上なく輝いていていいなーと思う。


私は、こうやって何かに打ち込む子供は好きだ。
もどかしさ、はがゆさ、そういうものが一気に降りかかり
子供のままでいたい気持ち、大人になりたい焦り、
自分は特別な何かで有ると信じたいけど、
そうではないかもしれないと気付き始めて不安になる。
そのすべてを愛おしく感じ、自分は二度とそこへ戻れない淋しさもある。


読みながら、これは作者の経験か?と思って検索をかけたら
その通り、1巻はほとんどご自身の経験だそうな。
2巻以降はフィクション性がかなり高いとのこと。
あんな展開が人生にあったら、私なら耐えられませぬ(笑)
やっぱり、本屋大賞ノミネートされてるんですねー。
イメージしていた音楽高校もドンピシャリだった〜。


それから、もとは3巻通じて出てくる哲学の話が根幹だったそうで。
小説の舞台がどこであっても、「考える」過程を書きたかったそう。
もう一回読みこんでみるのも面白そう。
そして、著者の経営する本屋さんにも行ってみたい〜。