「空を見上げる古い歌を口ずさむ」 小路幸也

空を見上げる古い歌を口ずさむ (講談社文庫)

空を見上げる古い歌を口ずさむ (講談社文庫)


東京バンドワゴン」で一気にファンになった小路さん。
ブック○フで、とりあえずキープしておいた本作。
デビュー作だったのだと、読み終えて知りました。



「みんなの顔が<のっぺらぼう>に見える。」
息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取る。
家族で過ごした懐かしきカタカナの町、パルプ町。
桜の咲くサクラバ、六角交番、タンカス山など。
あの夏、あの町で起こった不思議な出来事な数々。
その事件の真相を、兄が語り出す―。


<のっぺらぼう>という設定が面白かった。
そこに加わる1970年代のノスタルジア
兄の話は唐突で、どこにつながるのか最初は分からない。
不思議な感覚に包まれながら、気がつくとグイグイ引き込まれる。
やがて明らかになる真相は私の予想とは全く別物でした。


東京バンドワゴン」シリーズと本作しか読んだことがありませんが
小路さんの書く物語は、心根の優しい作品ばかり。
最後まで不思議な感覚が残る話でしたが、嫌な気分にならない。
こういう文章を書けるのもまた一つの才能なのだよなーと思う。


バンドワゴンシリーズの最新文庫も手元に。
でも、1年に1冊しか出ないからもったいなくて読めなーい(笑)
ちょっと忘れちゃってる部分もあるからバンドワゴン月間作ろうかな!