「秋月記」 葉室麟

秋月記 (角川文庫)

秋月記 (角川文庫)



読んだことのない作家フェアー中。
って、忙しさにかまけてフェアーは2週間近くお休みしてたけど。



今回は葉室麟さんの作品。
これ、単行本として出た時からずっと読もうと思ってた1冊。
図書室で1回借りたんだっけなー、時間がなくて断念したんだっけなー。
3年越しくらいで、再チャレンジとなりました。


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筑前の小藩・秋月藩で、専横を極める家老・宮崎織部への不満が高まっていた。
間小四郎は、志を同じくする仲間の藩士たちとともに糾弾に立ち上がる。
訴えは聞き届けられ、本藩・福岡藩の援助を得てその排除に成功する。
藩政の刷新に情熱を傾けようとする小四郎だったが、ふとした違和感を覚える。
その違和感は的中し、家老失脚の背後には福岡藩の策謀があったのだ。
いつしか共に立った仲間との絆も揺らぎ始め…。
小四郎はひとり、捨て石となる決意を固める。


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前半は、宮崎織部の専横とそれに対する若き小四郎たちのいらだち。
小四郎の生い立ち・トラウマから始まり、青年期へ。
小四郎は他の若き藩士たちに比べて、客観的というか冷静な印象。
でも、一度決めたことには揺るがぬ意志を持つ様子が見える。
その思いが、宮崎織部を排除するまでに動くまでを丁寧に書く。


後半は、宮崎が去った後に出世した小四郎たちがメイン。
宮崎の専横は真のことだったのかという疑問のもたげた小四郎。
そして織部崩れの裏側にあった、本藩(福岡藩)の思惑。
真実を知った小四郎は、本藩から秋月藩を守る為に動く。



そして本藩が抱える思いと同じくして動く伏影と呼ばれる隠密たちの存在。
これがなかなか厄介で、いろんなところで出てきては小四郎の邪魔をする。
伏影のボスに仇討をされることになった、小四郎のところはドキドキした。
小四郎と思いを共にした仲間たちの気持ちが離れているのが分かって、
でも、絶対に助太刀に来てくれるはず!と信じて読み進め…。
ちょっと泣けました、こういう男の友情って胸が熱くなるの抑えられない。


ときどき出てくる原猷の存在も良かった!
勉学と漢詩に長けた女性っていうのが良かったですなー。


ただラストだけがやったら駆け足で。
やっぱり倍以上に引きのばせたように思えるのですが…。
最後、間小四郎がああなってしまう理由が薄いというか。。。
もったいなーい。


そして、登場する間小四郎や宮崎織部が実在とは知らず読んでいたという。
あ、原猷も実在っぽいですな、ってことは全員そうなのだろうか。
各藩の家老までは私は知りませぬ、勉強不足ですね…精進せねば。


時代小説っていいな。
(といいつつ、藤沢周平司馬遼太郎などの大家を未読という)
てか、葉室麟さんいいなー。
古本屋で探すリスト上位だ!
なかったら新刊で買っても惜しくないなー。


時代小説の感想を多く載せてるブログなどで、
いろんな作家さんを知って読んでみよう!