「アムステルダムランチボックス」 志羽竜一

アムステルダム・ランチボックス (ダ・ヴィンチブックス)

アムステルダム・ランチボックス (ダ・ヴィンチブックス)


先月の未読作家フェアで読もうと思っていた1冊。
本当に初めて知った作家さん、お試しって感じで。


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オーストラリアから2年ぶりに日本に戻り、派遣ではたらき始めた28歳の絢日。
職場でも友人からも、たびたび「このあいだ絢日を見かけた」と言われる。
だけど、最近戻ってきたばかりの絢日には心あたりのない話ばかり。
自分がいなかった場所で目撃される、もうひとりの自分に会うため、
絢日は“彼女”が現れるというバー「アムステルダム」へ。


やがて4人の男女の熱い想いと、哀しい秘密が、アムステルダムでクロスする。
自分は平凡で何もできないと思っている絢日が、恋の渦のなかで見つけるもの。


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非常に読みやすかったです。
ちょっと読んでみようかなーで手にとって一気読みでした。
グイグイ引き込まれるというよりは、なんとなく先が気になる感じで。


この作品、フリーペーパーの「L25」のモバイル版掲載だったようです。
大人版の携帯小説といったところでしょうか、分かりやすい。
言葉も難しい言葉の羅列ではなく、伝わりやすい言葉を選んで書かれてる。
同世代の女性が、ふっと携帯片手に読んでいくにはちょうどいい。


先が読めそうで、読めない感じも面白かったです。
中盤まではけっこう話が広がっちゃってどこに終着点があるのか見えない。
でも、最後には出てくるいろんな人がつながって、畳まれていく。


主人公の絢日がとにかくいい子です。
基本的には人を疑わずに生きている彼女ですが、
自分は何もできないと思いこみ過ぎている部分も多く。
自分では相手に何もしてあげられていないと思っていても
影響を受けて、その人の世界を変えていることはある。
だから、人と人との繋がりって大事にしなくちゃいけないんだなぁと。
思っても見ないかたちで相手の何かを変えてしまってるかもしれないから。


でも、この作品では智也が一番好きです。
こんな美青年、たまらんです(笑)