「神去なあなあ日常」 三浦しをん

神去なあなあ日常 (徳間文庫)

神去なあなあ日常 (徳間文庫)



三浦さんの作品。
長らく積読になっていました。




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林業っておもしれ〜!
高校卒業と同時に平野勇気は三重県の山奥にある神去村へ放り込まれる。
わけもわからないままチェーンソー片手に山仕事、
ケータイの電池パックも取り上げられてしまった。
先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来もあるけど、美人の産地でもある。
しかも村には秘密があって…!?
林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う。
三浦しをんのお仕事小説、林業編!


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林業がどのようにして、行われているのか
わかりやすく書かれています。
舟を編む』の時も思ったけど、三浦さんのお仕事小説って、
きちんと取材された上で、知らない人向けにわかり易くなっている。
実際の仕事はそんなんじゃないよ!と思う人もいるかもしれない。
でも、興味を持つっていうのも大事なんじゃないでしょうか。


林業のすごさを感じたのは、成果がすぐに見える仕事ではないということ。
林業が100年サイクルのもので、100年サイクルってことは
自分が植えた木々が商品として送り出される瞬間に
立ち会えない可能性が往々にしてあるってことなんだろう。
それでも、植えて育てて次の世代へ引き継いでゆく。
壮大な命にかかわっている仕事なんだなぁと読み終えて感じる。


と、同時に神去村で大事にされているのが神去山に伝わる神事。
ラストの神去山でのお祭りシーンは圧巻でした。
主人公の勇気はまさにジェットコースターのような思いをしてますが、
読み手の私も、ゾクゾクさせられました。
言葉を超える「何か」があるんだということを身をもって知る。
そういうことがあってよいのだと思えました。


読後感は爽快です。
続編も発売されているので、これは図書館かな!


個人的には、先日読んだ阿川佐和子さんの『聞く力』に出てきた
聞き書き甲子園」が参考文献にあがっててちょっと嬉しかった。
読んだ本がつながった感じで。