「夏天の虹」 高田郁

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))

夏天の虹―みをつくし料理帖 (角川春樹事務所 (時代小説文庫))



シリーズ、最新刊にようやく辿りつきました。
こちらも言わずもがな、一気読み(2時間程度か)


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想いびとである小松原と添う道か、料理人として生きる道か……。
澪は、決して交わることのない道の上で悩み苦しんでいた。
「つる家」で料理を旨そうに頬張るお客の姿。
料理をつくり、供する自身の姿を思い浮かべる澪。
天空に浮かぶ心星を見つめる澪の心には見えるのは、
決して譲れない辿り着きたい道が。
そうして澪は、自身の揺るがない決意を小松原に伝えることに。
その他、表題作「夏天の虹」を含む全四篇。


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前作のラストで、澪の心は決まっていた。
その澪の決心を小松原はどう受け取るのかと思ってたが。
小松原も澪の心の内はわかっていて、それでも自分の思いを伝えて。
こうなることも見据えていたのだろうか…あまりに悲しい。
心より思う相手を思うが故に小松原は自らが悪役になることを選ぶ。
他にやりようがなかったのか…!と本当に苦しく思う。
私はこの作品の作り出す温かな空気が好きなので、
最後は美緒さんの言う方向で話がまとまってくれたらなぁと思う。


その後に澪を襲う料理人としては致命的な問題。
今でこそ小松原との一件による「ストレス」だって分かるが。
当時は、原因不明でただひたすら治るのを待つしかなかったのだろう。
そのストレスを吹っ飛ばすほどの、事件とはなんだと読み進めて…嗚呼。


表題作「夏天の虹」はキツかった。
読み終えてみれば、「あそこでフラグが立っていたのか」と分かる。
繰り返しになるけど、私はこの作品がラストに持ってくる、
厳しい中にも一筋の光が見えるような温かさが好き。
だから、これがラストの1篇でしかもあの終り方では…ハァ(ため息)


ただ、作者の高田氏の中ではすでにラストは固まっているそうだ。
そこへ向かって、着々と話は進んでいるようなので。
乗り越えなければいけない壁はたくさんありますが、
テーマの雲外蒼天を目指して、澪にはもっと成長してほしいです。
個人的には、りうばあさんがレギュラー入りしたので満足(笑)


本当に私の個人的な感覚なのだが、
なんとなくハリーポッターと同じにおいを感じる。
主人公をたびたび襲う悲劇的な展開、今回のフラグ部分だけだけど。
ハリーポッターも、ラストシーンは先に決まっていたしね。


それから、読まなかった間にドラマ化されましたね。
見ませんでした、イメージが固定化されそうだったので。
私の中では、蒼井優ちゃんがやっぱり澪のイメージです。
N○Kさん、火曜8時とかの枠でやってくれないでしょうか…。
小松原は…そうだなぁ堺雅人さんとか、西島秀俊さんとかで。
ハハハ、完全な個人的趣味ですね…(笑)



来年春辺りには最新刊が出るのかな。
次刊あたりからは、少しでも澪に幸多からんことを。