「玻璃の天」 北村薫

玻璃の天 (文春文庫)

玻璃の天 (文春文庫)



ベッキーさんシリーズ2作目。


今回も、3作品が収録されてます。


犬猿の仲の両家手打ちの場で起きた絵画消失の謎を解く。
手紙の暗号を手がかりに、失踪した友人を探す。
ステンドグラスの天窓から墜落した思想家の死の真相を探る。


英子とベッキーさんの謎解きも面白いですが、
この作品の良いところは、時代描写がとてもうまい所にあると思う。
昭和初期の暗澹とした狂気が社会全体を覆っている世界。
その狂気が、ある一点に向かって人々を押し流していく。
だけど、英子もベッキーさんも流されるだけでなく疑問を持つ。


そしてラストではベッキーさんの過去が垣間見えます。
それでも彼女に関する謎は残る。
…最終作でそれが分かるのかしら?楽しみ。