「今朝の春」 高田郁

今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)

今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)


みをつくし料理帖、4作目。
既刊6作も折り返してしまいました…。
残り2作で話が終わるわけではないそうなので…読み切っちゃったらツライなー。


さて、今作も今まで同様に4作品収録。
登場人物たちの背景もどんどん増えるので、楽しみが広がってます。
伊勢屋の娘、美緒の大奥奉公の話とつる家の奉公人、澪のそれぞれの恋。
澪が密かに想い寄せる小松原の正体もだんだんはっきりとしてくる。
それと同時に、澪が叶うことのない恋に心を乱す様子が切ない。
でも、この本のラストに、澪は自分なりに恋への向き合い方を決めます。


他にも、長屋の隣人であるおりょうと伊佐三夫婦の話、
あさひ太夫をめぐる戯作者と澪の対峙の話など盛りだくさん。
江戸に生きる人々の日常と不安を丁寧に書いているのがやっぱり好き。


今回は、化け物こと「りうばあさん」が出てこない…と3作品目で思っていたら
ラストの作品でちゃーんと登場してくれました、りうさんの言葉が好き。
江戸の作品ではこういう脇を固める年長者が本当にいい味を出してくれます。
今回も、りうさんの言葉に澪が何度も何度も助けられていきます。


そして、冒頭に書いたように残り2作品。
新刊が出るという噂も聞くのでとりあえず読み進めようかな。
すでに、5作目は手元にあるんだけど…もったいないので別のもの読もう。