「風が強く吹いている」 三浦しをん

風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)



2月下旬に差し掛かったところだけど、現時点でNO.1。
なぜ、去年の年末に読まなかった…!
そしたら今年の箱根駅伝も楽しめたのに!


正月は、必ず箱根駅伝を見る。
箱根は父が好きだから…と幼いころからずっとその姿を見てきた。
2日間、食い入るように見ている父の姿は、私の正しい年始の在り方。


そして三浦しをんさんの作品も、これが初めて。
初めて作家さんの本に何を選ぶかというのはとても重要な作業だ。
その作家の好き嫌いを決めてしまうから、慎重になる。
箱根駅伝というフレーズは、私の中で「ピン」ときた。


と、前置きが長くなった(笑)


箱根駅伝を走りたい」と4年間願い続けた清瀬灰二。
その灰二の前に現れた、天才ランナーの走。
2人が共同生活を送る竹青荘の個性豊かなメンバーたち。
素人同然の竹青荘の10人が、箱根を目指す!?


設定は、小説だからメチャクチャな部分もあるけれど、
10人がそれぞれ己の限界に挑戦し、タスキをつなぐ姿に胸が熱くなる。
それぞれの内面を走る姿と一緒に描いてゆく物語が素晴らしかった。


何よりその個性豊かなメンバーを優しく強く導く清瀬がカッコイイ。
最初、清瀬って「のだめカンタービレ」の千秋の柔らか版?って感じだったけど。

清瀬の発する一言ひと言が、個々の特性をしっかりと分析した言葉で。
「こんなに全部が見渡せる人いるの?」とひねくれた感想をもちつつも(笑)
清瀬にもらう言葉に、強さをもらうメンバーのように心を熱くしてしまう。
こんな人が監督にいるチームは、きっと強くなれるだろうなと素直に納得。



特に、清瀬が走に言った言葉。
「きみに対する思いを、『信じる』なんて言葉では言い表せない。信じる、信じないじゃない。ただ、きみなんだ。走、俺にとっての最高のランナーは、きみしかいない。」
こんなこと言われたら、私なら泣くぞ!




ともかく、この本は箱根好きの父に薦めてみたい。