「巨勢入道河童 平清盛」 童門冬二

巨勢入道河童 平清盛 (集英社文庫)

巨勢入道河童 平清盛 (集英社文庫)


初めての作家さん。
引き続き、ブームの平清盛にのっかりました。


「おまえが武名を高めた“やすもとの乱”というのはどういう事件だ?」
河童の頭目、九千坊が問う。
清盛が笑う。「それは“ほうげんの乱”だ」
平清盛は死後、筑後川の支流の巨勢川の河童になった。
疑り深い九千坊との丁々発止のやりとりのなか、
清盛はかつての自分がたどった道を振り返る。
厳島の社、福原の新都、海に造った経島。
ひたすら夢を追い続けた男を描く、異色時代小説。


最初は、設定に「????」という感じ。
でも、気持ちがノってくると、なかなか面白い。
清盛が河童大王の九千坊に問われるがまま、
自分が生前してきたことを振り返ってゆく。
客観的に自分のことを振り返ってゆく清盛。
伝わっている生前の性格などを活かしつつ話は進む。


九千坊が清盛に関して調べたメモを持つとか
ちょっと設定がおかしい部分はやっぱりあるけれど
細部をあまりに気にしなければ、楽しめる。
著者自身の考えが反映されているんだろうなってのも多いし。


平家が河童になったり蟹になったというのは
九州に古くから伝わる伝説なのだそう。
平家蟹、さっき実際に検索したら本当に人の顔みたい。
今もどこかで平家の河童や蟹がみんなで集まって
昔の話に華を咲かせているのなら、面白いな。
「今年の大河のあのシーン、可笑しくない!?」みたいな(笑)


著者の方は、聞いたことあるけど読んだことなかった。
勝手にお若い方と思っていたら、けっこうなご高齢でビックリ。
美濃部亮吉氏といっしょに革新都政をやっていたのかー。
他の歴史関係の著書も面白そうなので、読んでみよーっと。