「月魚」 三浦しをん

月魚 (角川文庫)

月魚 (角川文庫)



で、再び三浦しをんさん。
今年、いったいどんだけ読んでるんだ。
ハマると抜け出せない性格が分かりやすくでてます。



夢を見ることも、野心もすべてあの夏の日に生まれた。



古書店『無窮堂』の若き当主、真志喜。
その友人で同じ業界に身を置く瀬名垣。
二人は幼い頃から、密かな罪の意識をずっと共有してきた―。
瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、
その才能を見抜いた真志喜の祖父に目をかけられたことで、
幼い二人は兄弟のように育ったのだ。
しかし、ある夏の午後起きた事件によって、二人の関係は大きく変っていき…。
「水に沈んだ私の村」さらに文庫版描き下ろし「名前のないもの」収録。


物語の全体はじっとりではなくしっとり。
主人公はそれぞれに罪の意識を抱えて成長している。
それが原因でお互いに素直に向き合えないもどかしさ。


三浦さんの嗜好が、思いっきり反映されているなぁと。
2人の関係が、ピンと細く張った糸のようで。
その緊張を壊してしまいたい衝動と、守りたいと思う気持ちと。
絶妙なバランスが、作品全体を覆っている感じがたまりません!


私はあまりにも直接的な表現をするBLものは苦手なので、
想像力を書きたててくれるくらいのが、読んでいて楽しいです。
主人公2人の姿かたちも、女性の萌えポイントをついてますし。


三浦さんのエッセイや元気のいい話もいいですが
こう、適度に湿度を感じさせるタイプの方が個人的には好きです。


さて、手元の三浦作品が底を尽きた。。。
次、どうしようかなぁ。