「誘拐ラプソディー」 荻原浩

誘拐ラプソディー (双葉文庫)

誘拐ラプソディー (双葉文庫)



10月は新しい作家さんチャレンジ月間。
早速、初めて読む作家さん。



伊達秀吉は、金ない家ない女いない、あるのは借金と前科だけのダメ人間。
金持ちのガキ・伝助との出会いに人生一発逆転のチャンスと大張りきり。
だけど、誘拐に成功はなし…それでも誘拐の法則に則って動き出す。
だけど警察はおろか、ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。
しかも伝助との間には奇妙な友情まで芽生えてしまう―。
はたして、史上最低の誘拐犯・秀吉に明日はあるのか?
たっぷり笑えてしみじみ泣ける、最高にキュートな誘拐物語。



出だしの主人公のダメっぷりに、しばしイラつきました。
借金まみれだし、前科あるしと自殺を決意するけど、ホントはその気なし。
伝助は、世間知らずのどこか抜けた感じの子供。
だけど、伝助の親の正体や取り巻く人たちがでてくると面白くなる。


主人公の思いつきで始めた誘拐が、とんでもなく大きな話に膨らむ。
みなさーん、主人公はこんなにダメな男ですよー!と言いたくなる(笑)
思いつきに振り回されているだけですよ!って。
話はどんどん横道にそれて、登場人物も増えるけれど、
後半に入るあたりで、ようやく主人公に近づき始める。
度重なるピンチをどうにかこうにか潜り抜ける2人の距離がだんだん縮まって。
もちろん、追いかけてくる奴らとの距離も縮まって(笑)


ラストはちゃんと収まる所におさまったかな、と思えました。
1つだけ、チャイニーズマフィアが主人公を死んだ息子と見間違えたシーン。
見間違えて、情け心が出たのは良いのだけどその裏にカラクリなしかー。
ただの他人のそら似で、主人公ラッキーじゃんで終わりなのか…。
ちょこっと納得いかなかった。


スピード感あって楽しめました。
新規開拓、成功かな。
他の作品も手にしてみようと思います。