「火車」 宮部みゆき

火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)


宮部みゆきさん、実はほとんど読んだことがない。
面白いっていわれているし、読みたい気持ちはあるのだけど。
どれから読んでいいのか分からず、結局手つかず。


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休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれごとをされる。
依頼は、彼の婚約者である関根彰子の行方を捜すこと。
自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消していることが分かる。
なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?
いったい彼女は何者なのか?
謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生。
果たして、本間は彰子を見つけることが出来るのだろうか。


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失踪事件がそもそものスタートだけど、
話が進むにつれて、失踪した「彼女」の抱える事情が明らかになってくる。
クレジットカードのキャッシングから始まる自己破産者の抱える闇。
物語の舞台は今から20年近く前だけど、すでにこんなことになってたのだなぁ。
クレジットカードによる、借金地獄はお金の管理が下手な人だけが
こんな事態に陥るわけじゃないんだってことを肝に銘じておきたい。


失踪した彼女の圧倒的な孤独。
多重債務者の人生はこんなにも過酷なのかと。
到底耐えられない生活だ…でも明日は我が身かもしれないしな…。
最初は、なんて女なんだと思っていたけれど、
彼女の身に起こった出来事を思うと、無責任にひどい女だとはいえない。
やってることは人の道にはずれちゃってますけど、
そうなるに至った彼女の心中を思うと、上手い言葉で表せないですなぁ。


宮部さんの本は多分ちゃんと読んだのは初ですが、
面白いし、評価される理由が分かりました。
他のも読みたいなー、新作の3部作も気になりまする。