「空飛ぶ馬」 北村薫

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)


久々の北村薫さん作品。
これ、デビュー作だったのですね。
知らずに読んだわけですが(笑)


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これは本格推理の面白さと小説の醍醐味とが
きわめて幸福な結婚をして生まれ出た作品である。

主人公の私が、噺家の春桜亭円紫が出会う「織部の霊」
茶店で不可思議な行動をとる3人の女性「砂糖合戦」
夏の旅行で出会った不思議な少女「胡桃の中の鳥」
日曜の午後九時に現れる赤ずきん「赤頭巾」
クリスマスの夜に消し、翌朝に戻った木馬「空飛ぶ馬」


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日々に起こる不可思議な出来事。
「おかしいな〜」と思っても通り過ぎてしまうことも多い。
でも、この主人公の「私」はそのままにはしておけない。
大学教授に引き合わせてもらった噺家・春桜亭円紫さんに相談をする。


円紫さんは、「私」に話を聞いて謎を解き明かす。
日常に潜む「些細な悪意」に時に傷つく「私」を、
円紫さんはとても温かく見守って成長させてくれる。


個人的には、「赤頭巾」から「空飛ぶ馬」にかけての流れが好きです。
「赤頭巾」で傷ついた主人公に対して、
「世の中、捨てたものではないってことですよ」と癒してくれる。


シリーズ5作品あるみたいなので、読み進めていこうっと。