「世界でいちばん長い写真」 誉田哲也

世界でいちばん長い写真 (光文社文庫)

世界でいちばん長い写真 (光文社文庫)



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内藤宏伸は中学三年生。
去年まで大の仲良しだった洋輔が転校したことで、すっかり塞ぎ込んでいた。
やりたいことも、話したい相手もみつからず、すべてがつまらない。
写真部にはいちおう籍をおいているけれど、
部長の三好奈々恵に作品提出を迫られるけど、撮りたいものもみつからない。
そんなある日、祖父の経営する古道具屋で、一台の奇妙なカメラを見つける。
それは、台座が一回転して、三六〇度すべてを一枚の長い写真に納められる
という風変わりなものだった。
カメラとの出会いをきっかけに、宏伸は「世界で一番長い写真」を撮りたい
という思いを抱き始める。
でも、それだけの長さ、撮りたいと思える被写体って、なんだろう?!


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誉田哲也氏の青春小説。
むちゃくちゃさわやかです。


やりたいことの見つからない中学生や高校生ってこんな感じなのだろうな。
無気力ってわけじゃなくて、でも何に自分が向いているか分からなくて。
もやもやしている感じが、かわいらしいな〜、ファイト〜って言いたくなる。
その分、被写体が決まってから、その写真撮影までの日々は愛おしいです。


しかし、「ハング」や「ヒトリシズカ」などのハードな小説を書くひとから
どうしてこんなにもさわやかな青春小説が出てくるのか不思議でならない。
これを書いている現在、氏のデビュー作「妖の華」を読んでいるので
なおさらそのギャップに戸惑うばかりです(笑)