「エンジェル・フライト」 佐々涼子

エンジェルフライト 国際霊柩送還士

エンジェルフライト 国際霊柩送還士


図書案内に出ていて気になったので、手にとりました。


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ママが遺体にキスできるように。それが彼らの仕事。
国境を越えて遺体を家族のもとへ送り届けるのが国際霊柩送還士の仕事。
日本初の専門会社で働く人々と遺族の取材を通して、
筆者は人が人を弔うことの意味、日本人としての「死」の捉え方を知る。


運ぶのは遺体だけじゃない。
国境を越え、“魂”を家族のもとへ送り届けるプロフェッショナルたち。
2012年第10回開高健ノンフィクション賞受賞。


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てっきりフィクションだと思って読んでんみたら、ルポでした。
だから、出だしは「んん??」となってしまったのですが。
あぁこれはルポなのねと気づいてからは頭切り替えて読めました。


手に取ったきっかけは、かつて私も海外に住んだ経験があったから。
あまり、「死」について深く考えもせずに渡ったけれど、
私だってここに出てくる人のようになっていたかも。
そして、大切な友人のお父様が2年前に外国で亡くなったから。
(私も、お父様に良くしてもらっていたのでショックでした)


ここのところ海外で起こる不幸な事故が多く報道されている。
そんな中で、亡くなった方の棺はどう運ばれるのかなと思っていたのです。


エンバーミングの処置などのシーンは気迫がありました。
そして、そこに込められた社員の思いなども胸に迫る。
日本に数少ない、彼らのおかげで最後の瞬間を迎える遺族たち。
決して日の目を見る仕事ではないけれど、その存在を知ることができて良かった。


著者自身のエピソードはちょっと蛇足だったかなと。
なくても十分すぎるほど面白い仕事のルポでした。